『第29話「幼馴染と言う事で宜しく!」』
「幸村様にお会い出来て嬉しいです。父上から話を聞いて会えるのを今か今かと楽しみにしておりました」
「は…はぁ…」
早くも、竹林院のペースに飲まれている幸村。
よく見たら、ナイアガラの滝のような汗が吹き出している。
政宗ならば軽くあしらったりするのだろうが、生憎幸村は、女子に対しての免疫が全くない。
なので、どう対応していいのか分からないのだ。
そんな幸村を後ろから見守る影が3つ…。
「(あの綺麗で可愛い女の子が竹林院さん!?すごっ…ユッキーうらやましいぞこん畜生ー!!)」
「(うわー何やってんの真田の旦那ったら!!カチンコチンじゃないのー。
にしてもそのまま結納済ませちゃってくれないかなー)」
「(ぃ幸村ぁあああ!負けるでない!ぃ幸村ぁああ!!!!)」
…訂正しよう。
見守る影が1つ。
このままでは埒があかぬと思い、幸村は思い切って、笑顔で話し続ける竹林院とのお見合いを断ろうとした。
「竹林院殿!折角来てくれたのに申し訳ないがじっ実は某…某…」
想い人が…と言おうとした瞬間、サクッと何かが頭に刺さる音がした。
ズボッと引っこ抜くと、それは自分の部下の第7武器。
飛んで来た方を見ると、佐助が嫌な笑みを浮かべている。
どんな手を使ってでも自分を竹林院と結婚させたいらしい。
「(ぬぅぅ…佐助めぇぇぇ!!!)」
心の中で怒り狂い、背景には炎がメラメラと燃えている。
持っていた第7武器が、幸村によって無残に砕かれてしまった。
「佐助!!主に向かって手裏…いやこれ手裏剣か!?こんな物を投げ付けるとは何事か!!」
頭から血をダラダラと流しながら怒鳴る幸村を、オロオロしながら心配する竹林院。
だが心の中では、「頭から血を流しても元気な幸村様…逞しくて素敵…」などと思っていた。
竹林院の中で、幸村への好感度が上がっているなんて事を、当の幸村は知る由もない。
「あっれ〜?すいませんねえ真田の旦那。手裏剣を投げる練習してたら手元が狂っちゃったみたいで♪」
さっきまでそこで見てたくせに白々しいなこの野郎と言わんばかりの目で、笑い飛ばす佐助を容赦なく睨みつけた。
佐助は、おかんの時や戦場で一緒に戦う時は、凄く頼りになる。
だが、恋愛方面になるとかなり手強いライバルだ。
負けてはいられない。
「御免ねユッキー邪魔しちゃって!私達に構わずどーぞイチャこきまくって!」
一触即発の雰囲気に、これはヤバイと悟ったは、信玄と佐助を引っ張り、向こうへ行こうとした。
すると、そんなに竹林院が声をかけてきた。
「そこの貴女…珍しい格好をしてらっしゃるのね。女中の人ではなさそうだけど…?」
「え!?えっとあたしはっそのー…」
まさか声をかけられるとは思わなかったので、慌ててどう答えようかと考える。
いきなり未来から来ました〜なんて馬鹿正直に言っても、信じて貰える訳ないだろうし、
女中さんじゃない事は言動や態度、そして制服で分かる。
この場合、居候と言った方がいいのかと悩んでいると、見兼ねた信玄は助け舟を出した。
「この者はといってな。幸村の幼馴染みじゃ」
「そっそうなんです!ユッキーの幼馴染みなんですよあははははー!!!」
「まぁそうでしたの!後で幸村様の事色々教えて下さいね」
「はい!分からない事があったら何でも聞いて下さい!!(あたしの馬鹿ー!!)」
「殿ぉ〜…」
どんどん話が進みまくり、口すらはさめず打ちひしがれる幸村だった。
「おーやーかーたーさーまー!!」
「何じゃどうしたよ」
「どうしたじゃありませんよ!あたしユッキーの事こっち来てからの事しか知らないんですよ!?
小さい時の事とか聞かれたらどうするんですか!?」
信玄の背中に乗っかり、頭の角を引っ張りながら叫ぶ。
嘘を付くのは苦手な為、隠し通せる自信が無かった。
そんなをよそに、佐助は信玄にある疑問を投げ掛けた。
「ねぇ大将。あの時どうして旦那の幼馴染みなんて言ったんですか?
どうせ大将は旦那の味方でしょ?本当の事言ったら丸く収まったのに…」
「それではこの話が続かんではないか」
それはもっともな話なのだが、理由はそれだけではないはず。
「こう言えば少しは面白くなりそうかと思うてな」
「大将も悪だねえ」
「お主程でもないぞ佐助」
怪しい笑いを始めた2人。
結納をするかしないかで騒いではいるが、結局は幸村で楽しもうという魂胆だ。
そんな2人の思惑など知らないは、ひたすら?を飛ばしていたのだった。
「あっそういえば今夜宴あるんでしたよね。大将あんまり酒飲まないで下さいよ〜」
「え?今日宴会するの?」
「うん。お客さん来てるしね。そうそう酒飲んだ大将には近づかない方がいいよ。絡まれるから」
困った顔で佐助は言う。
酒に付き合わされて、飲み比べの勝負吹っかけられたり、殴り愛の相手にされたりと大変らしい。
は、あまり酒に対する免疫はないので、飲み過ぎには気をつけようと思った。
酔っ払った事がないので、何を仕出かすか分からない。
酔って人に迷惑をかけるのは御免だ。
「ねぇユッキーは飲めるの?」
「実はね…ほとんど飲ませた事ないんだよ。だから酒には弱いはず…なんだけど」
昔から、某も飲みたい!と駄々をこねていたが、大人になってから!と言って佐助は飲ませなかった。
それの繰り返しで今に至る。
幸村の年齢だと、この時代ではもう立派な大人なのだが、佐助から見たらまだまだ子供らしい。
本人に聞かれたら、確実に殺されるが…。
「それよりさちゃん。折角の宴だからおめかししてみない?」
「へ?おめかし?あたしが!?」
「たまには良いんじゃない?ねぇ大将」
「うむ。儂も見てみたい」
「お館様まで…あたし着物は動きにくいからにが…」
苦手だと言おうとすると、目の前にはいつの間にか、やたら豪華な桜色の着物を持った女中が…。
逃げられない。
そう悟ったは、渋々着る事にしたのだった。
だがこの後、着物を着たは激しく後悔する事になる。
何故なら…
「こっ…コルセットォォォ…」
あの後は、女中に着物を着せられたが、帯がキツすぎて窒息死寸前だった。
おまけに重ね着をしているので、やたら体が重い。
帯を外して楽になろうかと思ったが、自分で巻けないので諦めた。
お腹を押さえながら、宴が開かれる場所に行くが、廊下のど真ん中でついにへたりこんでしまった。
すると、後ろから誰かがやってきた。
幸村と竹林院だ。
真っ青な顔をしてうずくまるの姿に、驚いた2人は慌てて駆け寄ってきた。
幸村がを抱え、ゆっくり起こす。
「殿!?どうしたでござるか!?」
「コルセット…コルセットがぁぁぁ…お腹が苦しいよぉぉ…息出来ないよぉぉ…」
「こるせっとって何でござるかぁぁあ!?殿死なないで下されぇええ!!!」
「ゆっ幸村様…もしかしたら帯がきついのかもしれません。ここは私に任せて下さいませんか?」
「しかし…」
「すぐにこの方と一緒に参りますので」
錯乱する幸村を落ち着かせを別の部屋に連れていった。
幸村が一緒にいては、流石にマズイ。
竹林院に帯をゆるく巻き直して貰い、ようやくは解放された。
「すいません〜助かりました〜」
「貴女が倒れていたのを見た時は本当にびっくりしましたわ。てっきり病気か何かかと…」
「いえいえ!あたしこう見えても病気なんてした事ないんで!」
元気だけが取り柄なんですと笑い飛ばすを見て、竹林院もつられて微笑む。
竹林院は、自分より遥かに年下なのに凄く上品だった。
遠慮がちに笑う姿なんて可愛らしい。
も見習わねば…と思ってしまう程だった。
「どうしました?」
「あっいえその…うらやましいなぁ〜なんて思ったりして…」
「うらやましい?」
「女の子らしいっていうか…何かこう…守ってあげたくなるような〜ほっとけないような…
あたし竹林院さんみたいな女の子らしさがないから…なはは〜んて!」
「そんな事ありませんよ。寧ろうらやましいと思うのは私の方ですもの」
へ?と内心驚く。
?を飛ばし竹林院を見たが、本人はニコッと笑うだけで、それ以上の事は何も言わなかった。
「さぁ幸村様が待っていますし行きましょうか」
「う…うん」
の手を引き、部屋を出た。
この後は宴が開かれる部屋の前に立っていた幸村に、
竹林院の前にも関わらず、泣きながら抱きつかれる羽目になるのだった。
NEXT
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佐助がもうおかんじゃない…!!
腹黒いよ!!
次回幸村が泥酔してヒロインにあーんな事やこーんな事を…ってどんな事!?(ノリ突っ込み)
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