『第30話「幸村泥酔警報発令!」』
「殿ー!!無事【こるせっと】とやらから解放されたのでござるか!?もう大丈夫でござるか!?」
「大丈夫だよ〜今は別の意味で苦しいけど…」
「はっ!しっ失礼した!!」
我に返った幸村は、慌ててから離れた。
やはり顔は真っ赤である。
そんな幸村の姿を見て、竹林院が少し困ったような表情をしていたのを2人は知らない。
佐助ならばすぐに気付くのだろうが、生憎佐助はここにはいない。
おかんは宴の準備に追われて大忙しだからだ。
今頃は、「忍使いが荒い」だの「俺は上司に恵まれてない」だのと文句を言っているに違いない。
それはもうボロクソに。
そのうち、●ー人事に電話するのではないかと心配だ。
「心配してくれて有難う!と・こ・ろ・で…」
「何でござるか?」
「どう?竹林院さんとは上手くいってる?」
すすす…と幸村に近づき、そっと小声で問う。
自分達がいない間どうなったのか。
少しは進展あったのか。
初対面なのに破廉恥な事しちゃったのか。
の頭の中は、もはやピンクな妄想でいぱーいだった。
対する幸村は、もう勘弁してくれと言わんばかりの表情で、心の中は大雨洪水警報だ。
佐助の邪魔も入り、なかなか思い通りに事が進まず、おまけにがこんな事を聞いてくるものだから幸村もイラつき始めた。
「幸村様?如何なさいました?」
「!なっ何でもないでござる!」
気付けばしかめっ面になっていたらしく、竹林院が心配そうに顔を覗き込んだ。
慌てて幸村は元の表情に戻す。
竹林院が甲斐に来て、まだ半日しか経っていない。
先が思いやられる…。
そう思った幸村だった。
「うぅ〜お酒まずい〜…」
「何じゃ。酒は苦手か」
「飲んだ事ないんですよー!こんなに飲めません!」
宴が始まった直後は、酔っ払った信玄に早速捕まり、お酒の相手をさせられる羽目に。
酔っ払った信玄に絡まれて大変だ。
慣れない酒を飲み、酔いが回り始めたのか頭がぼんやりする。
「酒は百薬の長と言うし少し位飲んでも大丈夫じゃ」
「少し位って…限度がありますよお館様ぁ…」
「こらー大将!飲めない人に酒を勧めないの!」
宴会の準備を手伝っていた佐助が、しゃもじで信玄の頭を叩く。
準備も終わり、一段落したようだ。
「ちゃん大丈夫?顔が少し赤いけど…」
「え?本当に?そんなに飲んでないんだけどな〜…」
自分の頬に両手をあてると、確かにいつもより温かい。
体も熱く感じる。
「(ほろ酔い状態だなこりゃ…)ちょっと飲んでも酔っちゃう人っているからね。
それに飲むの初めてだろ?気分が悪くなったらすぐに言ってね」
「うん。分かった〜」
に水を飲ませて様子を見ようとした佐助の背中に何かが張り付いてきた。
「さぁぁすぅぅけぇええ〜〜!」
「うわっ真田の旦那!?」
「殿から離れろ〜!」
「暑苦しいってば…てか酒くせ!!旦那もしかしてお酒飲んじゃったの!?」
酔っ払い顔を真っ赤にさせフラフラしている上に、目付きはもう最悪だ。
「す…すみません。幸村様がこんなにお酒に弱いとは知らず…」
どうやら竹林院が幸村に酒を勧めた様子。
目を離すんじゃなかった…と佐助は心底後悔した。
佐助に絡んでいた幸村は、今度は信玄の所に行き、「エビ固め〜」と笑いながら技をかけている。
信玄は「ギブギブ」と叫びながら、床を必死でバンバン叩いていた。
おまけにが楽しそうに、後ろでカウントしている。
はいつもこんな感じなので、正直酔ってるのかそうでないのかイマイチ分からない。
「駄目だこりゃ…暫く何言っても聞いてくれなさそー…」
「幸村様…楽しそうですね」
信玄をギブアップさせ、「やったー!」と抱きつく幸村とを見て小声で呟く。
佐助は何も言わず、ただ黙って聞いていた。
「幸村様は様を好いておられるのでは?」
「まっ、まっさか〜姫様の勘違いですよそれは…」
実際は竹林院の言う通りなのだが、佐助は否定した。
結納の件がおじゃんになれば、幸村の邪魔が入りとの距離もなかなか縮まらない。
「私には分かります。だって幸村様の目には私は映っていませんから。
あの方は様しか見ておりません」
寂しそうに笑う竹林院を見て、佐助もどう言っていいか分からなくなり、困り果てた。
その時バターン!と何かが倒れた音が宴会場に響き渡り、何事かと振り向いた佐助達。
ついに幸村は、酔いが完全に回り潰れてしまった。
が揺さぶっても一向に起きない。
初めて飲んだとはいえ、ハメを外しまくりあまつさえ姫の前でこの有様…。
こんな主を持つ佐助は、穴があったら入りたい気分になった。
「お館様ーユッキー眠っちゃいましたよ?」
「むぅ…仕方ない。佐助!幸村を部屋まで運んでやれ」
「何で俺様!?」
「それと。お主は幸村が目を覚ますまで側についていてくれないか」
「はーい」
「駄目駄目反対それ絶対反対!!」
「ぷぷっ何故じゃ佐助」
「おいあんた今、人を嘲笑うかのように笑っただろ!?
酔っ払った旦那がちゃんに何かいかがわしい事したらどーすんの!」
幸村に限ってそれはないんじゃ…と暫く考えた信玄だったが、
「その時はお前が破廉恥なー!!とか叫んでおけ」と真顔で答えた。
その直後、佐助のバサラ技が発動し、信玄は瀕死に追いやられる。
嫌々ながらもこのままにしておけず、仕方なく佐助は幸村を部屋に運ぶ事にした。
「あ〜ヤダヤダこれだから酔っ払いは困るんだよね〜」
「でもこんなユッキー見たの初めて…楽しかったよ?」
いつもならお館様馬鹿で戦にしか興味のない幸村だが、こんなに羽目を外している所は佐助ですら見た事がない。
酒の力って恐ろしいな…と思う。
そんな事を考えながら、暗くなった縁側の廊下を歩いていると幸村の寝室に到着した。
部屋に入ると、幸村が目を覚ました。
「あっユッキー起きちゃった。大丈夫?」
「…」
幸村は何も答えようとはせず、虚ろな目でただじっとを見ている。
頭がぼんやりして応答もままならないのだろうと思った佐助は、押し入れから布団を取り出し始めた。
暫くすると黙っていた幸村が口を開いた。
「腹が減った」と。
そして言うやいなやを強引に引き寄せ、今度は「食べたい」と言いだした。
これには佐助も驚き、思わず持っていた枕を畳の上に落としてしまう。
幸村の発言に思考回路はショート寸前、寧ろしてしまった。
ついに頂きます宣言をし、押し倒しての首筋に吸い付く。
一方押し倒されたは、何がなんだか分からず無我夢中で足をバタバタさせ、暴れ始めた。
腕は押さえ付けられている為、振り払う事が出来ない。
しかもこんな時に限って、馬鹿力も発動しない。
貞操の危機。
「ちょっタンマっやめっ…あたし食べ物じゃないから!!
ひええええさぁぁあすけー!!!おかんヘルプー!!おかーさーん!!!!」
「佐助の名前を呼ぶな。呼ぶなら俺の名前にしろ…」
いつもなら子供のような笑顔を向けてくる幸村なのに、今は全くの別人と化している。
戦場でも見る事のない表情だ。
それどころか、一人称すら変わっている。
は半泣き状態で佐助の方を見た。
佐助も固まっている。
枕を持っていた手をそのままに、氷のように固まっていた。
その表情は「誰こいつ」と言っている。
唯一止めてくれる人もこんな状態になってしまいは「もう駄目かもしれない」と悟りつつあった。
NEXT
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何だかお館様がただの愉快犯に…!
前半がなかなか進まなくて悪戦苦闘しましたよ(滝汗)
ゲームやってて幸村の一人称が「俺」だと判明した時は変えるべきかと葛藤したんですが、
「某」でいきたいと思います。
後半の幸村が破廉恥モードに突入した時は「やってもたー」と思わず呟きました私。
第三者視点で夢を書く分余計に(笑)
この後ヒロインはどうなるのか…!?
ちなみにお酒は20歳になってからです。
飲み過ぎてアルコール依存症にならないよう気をつけようね!
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