『第31話「宴の後で」』
お父さんお母さん…今あたしはとんでもない状況に陥ってます。
あの有名な戦国武将・紅蓮の鬼と呼ばれる真田幸村ことユッキーに襲われてます。
このままだと、大人の階段を全力疾走で駆け上り、宇宙に旅立つ勢いです。
もうどうしていいか分かりません。
って聞こえちゃいないよね★
「ちょっと待ったー!!お母さんそんな子に育てた覚えはありませんよ!!」
「佐助ー!それ言ったら育てられた覚えはないって言われるのがオチだからー!!」
「俺は佐助に育てられた覚えはない」
「「言われたー!!!」」
慌てる2人をよそに、幸村はこの服邪魔と言わんばかりに手をかけてきた。
流石にここまでくるとマズイので、フリーズ状態から解放された佐助は甲賀手裏剣を取り出す。
「旦那の阿呆!!」と叫び、勢いよくそれを投げつける。
普通は「旦那御免!」と叫ぶのが一般だが、状況が状況なだけにそういわざるを得なかった。
投げた甲賀手裏剣は、幸村の頭に綺麗にクリーンヒットし、幸村は気絶、
そのままの上に倒れ込み、再び深い眠りについた。
表情も元に戻り、子供のような寝顔を浮かべている。
それを見てホッとする2人。
「ありがと〜佐助が固まってた時はほんとどーなるかと思った…」
「俺だってどーしようかと思ったよ…あんな旦那見るのもう勘弁…心臓に悪いよ…」
「で…でもいつもの可愛いユッキーとは雰囲気違って何かドキドキしちゃった…///」
「え!?」
旦那…あんたまさかこれ作戦とかじゃないでしょーね…等と思いながら、幸村の方を恨めしそうに見る。
そんな佐助の考えなど露知らず。
幸村はいつも通り「お館様ぁぁあ〜!」と寝言を叫んでいた。
夜遅くまで続いた宴も終わり、朝が来た。
携帯のアラームが部屋中に鳴り響きは目を覚ます。
お酒を飲んだ上に、深夜まで起きていたせいか体がだるい。
朝日が眩しいので、布団の中に潜り二度寝をしようと思った矢先、
廊下からドドド…と誰かが物凄い勢いで走ってくる音が聞こえた。
そしてその音はの部屋で止まり、バターンと障子が開かれる。
そこには真っ青な顔をした幸村が立っていた。
「殿ー!!!!」
「はいぃぃ!!??」
幸村の大声に驚き、夢の世界に行きかけたは跳び起きる。
昨日の夜あんな事があったので、幸村の姿を見ると自然と身を固くしてしまう。
「お…おはよーユッ…」
「申し訳ないでござるあぁあ!!!」
の言葉を遮り、幸村はいきなりその場に座って土下座し始めた。
床に頭を思いっ切り打ち付けたので、ゴンッ!と鈍い音が。
そしてメリッと床がへこむ。
だが幸村はそれどころではなかった。
「さっ…さっき佐助から昨夜の事を聞いてっ…!!
そっ某っ…酔っ払っていたとはいえ殿にああああんな破廉恥な事を…!!!
しかも全く記憶になくて…!何と謝罪をすればよいのやら…!!とっとにかく本当に申し訳ないでござる!
かくなる上はこの真田源次郎幸村!切腹をー!!!」
「ユッキーおおお落ち着いて!ノンブレスだから!」
一体何処から出したのか、愛用している槍を自らの腹に向ける幸村を慌てて制止する。
とりあえずかなり錯乱しているので、まずは幸村を落ち着かせる事にした。
「ゆっ…許して貰おうとは思ってないでござる。だが…嫌われたくないのだ…」
「確かにあたしもあの時はビックリしちゃったけどユッキーの事嫌いになったりしないから大丈夫だよ。
今度からは飲む量に気をつけようね?」
「うむ!…………………う゛っ…」
「どしたのユッキー?」
突然、幸村の顔が先程以上に真っ青になった。
顔は思いっ切り引き攣っている。
どうやら二日酔いになっていたらしいのだが、佐助の話を聞いてそれ所ではなかったようだ。
忘れた頃にその症状は再度押し寄せてきた。
「ぎもぢわるいでござる…」
「だだだ大丈夫!?」
グロッキー状態で、その場にへたりこんだ幸村の背中をさすっていると、少し不機嫌な顔をした佐助がやってきた。
「旦那〜どうだった?」
「ちゃんど謝っだぞ…嫌われずにずんだ…」
「良かったね〜ちゃん心が広くて♪」
嫌みたらたらで真っ青な幸村の頬を、容赦なくつねったり引っ張ったりした。
「それはそうと旦那。姫の様子もちゃんと見に行きなよー」
「?竹林院さんがどうかしたの?」
「んー何か疲れたみたいだね。環境が変わったからとか何とか…
あの人こっち来てからずっと緊張してたし。部屋で休んでるよ」
昨夜の幸村泥酔騒ぎから竹林院と会っていない。
「ユッキー!あたしの事より竹林院さんを心配しなきゃ!
将来のお嫁さんになるかもしれない人なんだから傍にいてあげないと!」
「殿〜…」
態度と言動でいい加減気付いてくれ…そう思いながら心の中で泣いていた幸村だった。
お見合いの件が片付いたら、直接想いを告げようと心に誓ったが、果たして実行出来るのか…。
確実、佐助が邪魔してくるのは目に見えていた。
「カマちゃん何か面白い事ない〜?」
「失礼ね!誰がオカマよ!あたしには百合鎌之助という素敵な名前があるんだから!!」
「おい由利だろうが…」
任務がなく、暇を持て余していた十勇士の筧・望月・由利は、屋根の上でぼんやりしていた。
特に望月は暇で仕方ないらしく、爆弾でお手玉という大変危険な遊びをしている。
「面白い事…ねぇ。そういえば昨夜の幸村様は見物だったわよ〜酒を飲んだら狼さんに大変身!」
「えっ!?何それ狼って何どゆ事さ!?」
望月は興味を持ったらしく、目を輝かせた。
鎌之助はふふふ…と妖しく笑いながら話し出す。
「最近うちに来たっていう子に襲い掛かってたのあたし見ちゃったのよ!」
「おい見たのなら止めろよ。というか何でそんなおばさん口調なんだ」
「普段破廉恥破廉恥言ってるくせに自分が一番破廉恥って事分かってないんだから困ったものよねー」
「お前にだけは言われたくないぞそれ」
「さっきからあんたツッコミばっか…火繩銃とツッコミしか脳がないわけ?」
「そのめでたい頭を今ここで撃ち抜いてやってもいいんだぞオカマ…」
一触即発な雰囲気をかもし始めた2人。
そこに霧隠がやってきた。
「あっ霧隠!どうしたのそんな怖い顔して」
「望月…奴が来る」
「奴?」
「申し訳ありません…ご迷惑をおかけしてしまって…」
「とっとんでもないでござる!迷惑など…」
「こんなの迷惑のうちに入りませんよ姫。寧ろ酔っ払った旦那の方が迷惑だから」
「おい」
体調を崩した竹林院の様子を見に行った幸村達。
竹林院は横になってはいたが、笑って話している所を見るとそんなに酷くはなさそうだった。
ホッとする3人。
「あの…しばし幸村様と2人きりでお話をしても宜しいでしょうか?」
乙女の直感!!
2人きりという言葉にすぐさま反応する。
これはもしかしたら告白かもしれない!と1人よさ気に妄想を膨らませ始めた。
「構いませんよ〜!じゃああたし達はこれで!」
言うや否や佐助の腕を掴み、さっさと退散する。
幸村に頑張れとジェスチャーしながら。
ちなみに幸村にはのジェスチャーは伝わっていない。
2人が出て行ったのを見た後、幸村は一体何の話だろうと竹林院に問う。
「竹林院殿…話とは…?」
「今回のお見合いの話…なかった事にして貰えませんか?」
「へ?」
いきなりの事に、幸村はぽかんとなった。
見合いを無かった事に。
それはつまり振られたと言う事になる。
「ああああの…ななな何か某気に障るような事を言ったりしたでござるか…?」
「そうではありません。幸村様…好きな方がいらっしゃるでしょう?」
一瞬ドキッとする幸村。
まさかお見合い相手に面と向かって言われるとは、夢にも思わなかった。
バレてないと信じて疑っていなかったが、実際はバレバレなのだ。
気付いていないのはだけ。
「相手は様…違いますか?」
「そ…その通りでござる」
「幸村様は分かりやすいです。私といても目線は様の方に向いていましたもの。
噂では幸村様は女性と接するのが苦手だと…
私や女中と話した時は緊張してらっしゃいましたが様といる時は本当に楽しそうで…
最初は幼馴染みだからだと思っていましたが…」
そ…そんなに見ていたり、楽しそうにしていたのか…。
人に言われて初めて気付いた。
ほとんど無意識だったのだろう。
幸村は赤面してしまう。
「様がうらやましい…私もあんな風に幸村様に想われたかった…」
竹林院の言葉に、幸村は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
竹林院は自分には勿体ない位の女性だ。
と出会う前に、このお見合いの話が舞い込んでいたのならば、きっと自分は承諾していたかもしれない。
だが、やはり自分はの事がどうしようもなく好きなのだ。
「…本当に申し訳ないでござる」
「気にしないで下さい。幸村様は女性が苦手だと言う噂を聞いた時点でもとより期待はしておりませんでした」
「竹林院殿〜…」
「冗談ですよ。初めて会った時に言った通り本当に楽しみにしていたのですから」
へこたれる幸村を見て、クスクス笑う竹林院。
「様とうまくいくといいですね」
「中々うまくはいかぬでござる…」
幸村の頭には、黒い笑顔の佐助が浮かぶ。
続いて、ラスボスのような姿をしをさらう政宗が脳内に出てきた。
そして何故か、「娘は渡さん!」と訳の分からない事を叫びながら、仁王立ちする信玄の姿が…。
邪魔な芽は早目に摘むに限る…そんな怖い言葉が幸村の頭をよぎった。
一方退散したと佐助は、縁側の廊下で2人仲良くひなたぼっこをしながら、幸村が部屋から出てくるのを待っていた。
「今頃ユッキーどうしてるのかな〜?もう告白しちゃったかな!?どう思うおかん!」
「さぁ〜どうだろうね。案外振られてたりして」
昨夜、竹林院が宴で呟いた言葉を思い出しながら、興味なさ気に答える佐助。
一体何の話をしているのかは知らないが、
あの言葉と竹林院の表情からすると、お見合いはうまくいかないだろうと思った。
「振られる!?まっさか〜ないない!だってユッキー可愛いもん」
昨夜、その可愛い幸村に襲われた人が言う言葉か…と佐助は、一際大きな溜息をついた。
「佐助…元気ないね?もしかしてユッキーがお婿に行っちゃうの寂しいとか思ってたりする?」
「冗談!どうしたらそう考えられる訳?」
「おかんだから」
俺様…本業は忍だからね?
そりゃあ、毎日炊事やら洗濯やらやってる方が多いけどさ?
いやしかし…ねえ!?
「あたしも将来好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたいなぁ…赤ちゃん出来たりしてさー」
「…ちゃんってさ…好きな人いるの?」
「え?うー…分かんない!今は平等に皆が好きって感じかな」
「じゃあそのうち誰かが特別になるって事?」
「………そう…なるのかな」
佐助の問いにはしばし考え込み、照れたように答えた。
正直、誰かが特別になるとか、そんな事考えていなかった。
恥ずかしくてもじもじしていると、佐助は立ち上がり歩き出した。
「…特別か。んじゃ俺様頑張ってその座頂くとしますか」
「へ?今なんか言った?」
「べっつに〜今日の夕飯何にしようかなって言っただけ。これから大将と話があるから又後でね」
去っていく佐助の背中を見ながら、お見合いの事より夕飯の献立か…やっぱりおかんだな…等と思っていた。
竹林院の部屋から幸村が出てくる様子も無かったので、
自分も信玄の所に行こうかと考えていたその時、佐助の悲鳴が聞こえてきた。
何事かと駆け付けたが見たものは…。
「ななな何であんたがここにいるんだよ独眼竜の旦那ー!?」
「だっ…伊達ちゃん!?」
「よう。久し振りだな」
以前、自分をさらった奥州筆頭・伊達政宗だった。
NEXT
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幸村がへーたーれー。
そして伊達殿再登場!
やっと出せました…!
ロングメールの限界を越えそうだったので冷や冷やしましたが…。
夢小説連載で一万文字以上打ったの初めて…。
さぁて次も頑張って打つぞー!!
ブラウザでお戻り下さい。