『第35話「瀬戸内コンビ奥州に現る」』



果てしなく広がる広大な海と空。
潮風が吹き、空では鳥が何羽か鳴いている。
そして海には一隻の船が浮かんでいた。
その大きさから貨物船ではなく、何処か海賊を思わせる。
しかしその船には、歴史上で四国を平定した有名な人物が乗っていたのである。
男の名は長曽我部元親。
土佐の大名で、紫の眼帯をし巨大な錨を携えていて、

肩には鮮やかな色をした鳥が乗っている。
彼は各地に眠る財宝を探し、旅をしているらしい。
今回は奥州に向かっているのだが、財宝を手に入れる為に船を進めているのではなく、

伊達政宗と戦う事が目的だった。
元親は政宗との戦を楽しみにしていたようで、

船が奥州に近づくにつれその表情は好戦的なものへと変わっていく。
やがて錨を空高くかざし自軍に向かって叫んだ。


「野郎共!!次の相手はあの独眼竜伊達政宗だ!気合い入れろよ!!」
アニキー!!


静かな海上に長曽我部軍の声が響き渡る。
そして兵士達が元親の言葉で士気を高めているのを冷めた目で見る者がいた。
毛利元就。
陶晴賢・大内義長・尼子義久を滅ぼし、

山陰・山陽合わせて10ヶ所の領地を所有する人物だ。
策を練る事を得意とする智将だが、

毛利家の繁栄を願う彼は今まで障害となる者を何の戸惑いもなく排除してきた為、

周囲からは冷酷な策略家と恐れられている。
対豊臣・織田戦に備え最近元親と同盟を組んだのだが、

この性格が元親と合わない故に衝突が絶えないようだ。


「ふん…くだらぬ。これから戦だというのにどいつもこいつも馬鹿騒ぎをしおって…」
「と言いつつ皆に溶け込めなくて寂しい感を漂わせてるのは何処の誰だよ
「何だとこの愚か者が!!」
「あっもしかして図星ってやつか〜?俺はまだお前の名前は出しちゃいねえぜオクラさんよ?

つーか何でお前までついてくんだよ」


元就のかぶる鮮やかな黄緑のオクラハットに次々と怒を表すマークが。
そして彼の愛用している武器が浮き始めた。
だが何故かお楽しみ武器な為、あまり迫力がない。
この毛利元就という男。
周囲からは冷酷無比などと酷い印象を持たれてはいるが、

実は極度の淋しがり屋な上にツンデレキャラだったのだ!!
そんな元就の裏の性格を、既に元親に見抜かれている事など当の本人は気付いていない。
おおらかな元親と行動を共にしている影響でか、元就の性格が少しずつだが丸くなってきている事も。


「まぁまぁんな怒んなって。なぁピーちゃん?」


元親は、肩に乗ったピーちゃんという鳥に微笑みながら話し掛ける。
鳥は答えるが、出てきた言葉は元就をからかうような台詞ばかり。


オクラ!ツンデレ!」
「〜〜〜〜〜
焼け焦げよ!!!
「あぁっピーちゃんに乱暴するんじゃねえ!!」


元就からピーちゃんを守る為、代わりにはたきで叩かれるハメに。
この後暫くはバシバシとはたかれる音が鳴り響いたのだった。




そんな凸凹瀬戸内コンビが奥州に攻めてくる事など政宗は露知らず。
黒脛巾(くろはばき)は何の為に存在してるんだよというツッコミは、この際スルーだ。
連日仕事を徹夜でしていた為、目はこれでもかと言う程充血し、血走っている。
流石の小十郎も、少し無理をさせ過ぎたかと思った。
今やっている仕事はもうすぐ終わりそうなので、

これを片付けたら休ませようと考えていると、成実がいきなり部屋に乱入してきた。
しかも凄く嬉しそうな顔をさせながら。
そんな成実を容赦なく睨み付け、怒鳴る政宗。


なるみぃい!!仕事の邪魔すんじゃねえ!!

後少ししたら俺は鳥になれるんだ!!鳥にぃい!!


普段から仕事は小十郎任せだった為、連日不眠不休での執務は相当キたらしい。
普段から小まめにやっておけばこんな事にはならないものを…自業自得である。


だからしげざねだってば!そんな事より聞いてくれよ!ちゃんが来たんだって!」
殿が?では政宗様、今日の仕事は明日に…」


言いながら振り向くと、さっきまで机に向かい、黙々と仕事をしていた政宗の姿は
なかった。




「伊達ちゃーん!遊びに来たよー!」
「会いたかったぜmy sweet honey!真田幸村や猿飛に何か変な事とかされてなかったか!?

離れてる間、心配で食事も喉を通らなかったぜ!
どういう意味だ伊達政宗
「本当、顔見ただけでブチ殺したくなるよね〜この人


ドス黒いオーラを放つ真田主従など、今の政宗には眼中になく、

ただひたすらを抱きしめたりしている。
は、政宗の熱い抱擁で窒息死寸前だったのだが。
と、そこに小十郎と成実が現れた。


「お久しぶりですね。お元気そうで何よりです」
「そういう片倉さんは相変わらず馬鹿殿に苦労しているようで」
「いつもの事ですよ」


クスクスと笑いあう小十郎と佐助。
苦労人同士気が合うようだ。


「あっそうそう大将からの伝言〜同盟の件承諾したから宜しくだってさ」
「マジで!?やったな梵天!」
「流石は甲斐の虎。YESと答えてくれるのを信じてたぜ」
「…某は最後まで反対したのに…」
「まぁまぁ。
ラスボス猿大帝を倒すまでの我慢だって」


それがいつになるかは分からないが。
ハッキリ言って、織田軍や豊臣軍は強い。
武田と伊達が同盟を組み、共に戦っても苦戦を強いられるだろう。
幸村としてはさっさと決着をつけたかったのだが、この分ではまだまだ先になりそうだ。


「にしても思ったよりも長くかかったんだな。

あのおっさんの事だからスパーンと決断すると思ってたんだが」
「あっいやそれはね…あはは」


実はの風邪が治った後、幸村と信玄が風邪をひき、

そしてその風邪菌は武田の城内に蔓延して、佐助とは皆の看病に追われていたのだ。
やっと皆が復活した頃には、最後の最後で佐助が疲労と高熱でぶっ倒れたというオチである。
ちなみに信玄が風邪で寝込んでいる時、軍神が心配してお見舞いに来たとか来ないとか。


「まぁよいではありませんか政宗様。とりあえずお三方には旅の疲れを取って貰いましょう」
「じゃあお風呂入ってもいい?寒くて…あったまりたい」
「ええ構いませんよ。猿飛殿や真田殿は如何なさいますか?」
「あっじゃあ俺様達もそうしよっかな」


そう答えると、小十郎は3人を案内しようとしたがが制止した。


「大丈夫だよこじゅさん。あたし場所知ってるから」


前に数日間奥州で暮らしていたので、城の構造はある程度覚えている。


「いやしかし…」
「こじゅさん仕事で疲れてるんだしここはあたしに任せて!」


ドンと胸を叩くを見て、小十郎は「ではお言葉に甘えてお願いします」と頼む事にした。
風呂場に向かう達を見送った後、

小十郎は「客人に気を使わせてしまった!」と気付き、いきなり吐血。
成実が「お前その吐血もう癖だよな」と言いながら、背中をさすってやる。
もう見慣れた光景だからか、成実は驚く様子もない。
数分経ってようやく吐血症状が治まった小十郎は、ある事に気付いた。
政宗がいない。
あの阿呆、又何かしでかす気だ!!
小十郎の勘がそう言っていた。
そう考えたら又吐血してしまった。
政宗がいる限り、小十郎が健康になる事はまずないようだ。




「いい湯でござるな佐助」
「そうだねーうちと違って広いし露天だし」
「「こいつがいなければ最高なんだ(が)(けどね)」」


広い風呂場に2人…のはずが、余計な者まで紛れ込んだかのような目で、

目の前の人物を見ながら綺麗にハモる。
幸村と佐助の前には、偉そうに湯舟でくつろぐ政宗の姿が。


「Ah〜?この城の主が風呂に入っちゃ駄目だってのかよ?」
「そうではござらぬが…ついこの間まで敵対していた者と一緒に入るのは違和感が…」
「何だよ?折角同盟組んだんだ。んな固ぇ事言うなよ。

こちとら仕事でゆっくり風呂に入る時間もなかったんだからな。まっ仲良くしようぜ?」


に関する事以外でな、と付け足す。
幸村は、こんな余裕たっぷりの偉そうな男には絶対負けたくないと思った。
それと同時に織田と豊臣を倒したら、まず政宗を先に片付けようとかたく誓った。
そんな幸村の思考が読まれているのか、はたまた顔に出ていたのか、政宗はニヤリと笑い、

「まっ、どっかの無駄に破廉恥破廉恥叫ぶ赤いガキには負けねえけどな」と空を眺めながら呟く。
その瞬間、頭に血が昇った幸村は、政宗に「誰がガキだ!!」とブチ切れながら言い返すが、

言った本人は幸村の怒声など右から左だった。
今にも殴り掛かりそうな勢いの幸村を、佐助は慌てて止めに入る。


「わーちょいタンマ真田の旦那!挑発に乗っちゃ駄目だってば!!

それにここ風呂なんだから静かにしようよ!」
つーかさっきから思ってたんだがあんた誰だよ。こんな奴いたっけか?」
「俺様だよ猿飛佐助だよ
おかんで有名な!!声で分かるでしょーが!!」
「あぁあんたか」


普段は額に鉢金をし、前髪をあげ、顔にはフェイスペイントをしているが、今は風呂に入っている為それがない。
政宗には、佐助が別人に見えてしまったようだ。
静かな露天で3人の言い争いが、今まさに始まらんとしたその時…。


「あっ…あれ?」


ガラッと扉が開く。
そして何と男湯にが入ってきた。
固まる幸村と佐助だったが、政宗は至って平然としている。


「え?ええー!?何で男湯なの!?前来た時はちゃんと女湯に入れたのに!!」
「お前が帰った後、混浴出来るようにしたんだよ。

こうすれば夫婦水入らずで風呂に入れるしな!」
「だ…伊達ちゃん…;;」


奥州…否、変態筆頭伊達政宗かなりご満悦の様子。
明らか他の女中達の事は考えていないようだ。
それ以前に、この城に女中はいるらしいがは未だに見た事がない。
ちなみに風呂を改造した事は、小十郎には内緒にしているが、バレるのも時間の問題だ。


「…真田の旦那…こいつ殺っちゃおう。
今すぐ殺っちゃおう。

この変態は生かしておくと危険だよ
「同感だ佐助。某も我慢の限界だ」


幸村と佐助は一体何処から出したのか、自分の愛用の武器を取り出すと政宗に狙いを定める。
そして風呂場だというにも関わらず、襲い掛かった。
…のだが。
急に辺りが暗くなった。
不審に思った4人は上を見上げると、そこには青い空…ではなく巨大な機械が。
元親が導入した兵器「滅騎」だ。
いきなりの出来事に唖然とする政宗達だったが、唯一だけは違う反応を取っている。
滅騎と言えば…滅騎と言えば…!!
親ちゃんだーーー!!!!!




その頃、元親は…。


馬鹿か貴様は!?

こんな大きい物を持ってきては今から攻める事がモロバレではないか!!」
「痛い痛い!!ちょっ…就ちゃんマジ痛いって!!


滅騎の上で、元就に又バシバシと叩かれていた。




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元就が珍しく元親にからかわれている…(笑)
すいません…夢小説なのに最初の冒頭と終わりの部分は親就気分で書いてました(暴露)
てか夢小説でも叩かれてますよ彼。
余談ですが彼はピーちゃんの事になると情けない姿を平気で曝します。
それにしても海の表現って凄い難しい…!!
私のすっからかんの頭ではこれがいっぱいいっぱいです(>_<)
スランプになるかと思いましたが意外と指が進んだ回でした。
へたれ駄文ですけどね(笑)
ブラウザでお戻り下さい。


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