『第37話「女王様参戦」』
2つの武器がぶつかり合い、激しい音が辺りに響く。
元親が大技を繰り出し、政宗がそれをかわす度にビリビリと振動が発生する。
まるで地震が起きたかのようだった。
戦独特の緊迫感が漂い、空気はこれでもかという程張り詰めた。
その影響でか時折、肌がピリッと静電気が発生したかのような感覚に襲われる。
だがはそんな事を気にする事なく、政宗と元親の熾烈な戦いを無言でじっと見ていた。
魅入ってしまったのだ。
この世界に来て以来、こんなに間近でしかも激しい戦いは見た事がない。
力と力、技と技のぶつかり合い。
ほとばしる雷と炎が何よりも美しかった。
ふと鍔ぜり合いをしている政宗と元親の表情を見ると、2人は意外にも楽しそうな表情をしている。
まるで戦う性に支配されたもののふのようだった。
これが戦国武将同士の戦い。
さっきまで口喧嘩をしていた2人とはまるで別人である。
長い鍔ぜり合いが終わりお互い後退する。
政宗は追撃してくる元親の錨を防いだが、錨に付いていた鎖分銅が腹部に直撃してしまった。
鎖分銅自体は比較的小さく、籠手で弾こうとしたが、反応が遅れたせいで防ぐ事が出来なかった。
わずかに顔をしかめよろけた政宗の視界に入ってきたものは、炎に包まれた錨の切っ先。
長距離吹き飛ばし攻撃の八破である。
政宗がよろけている間のゼロコンマ数秒で力を溜めると、元親が不敵な笑みを浮かべた。
「ふっとんじまいな」
「政宗様危ない…!」
ヤバいと思う暇もなく、瞬間政宗は吹き飛ばされ壁が破壊された。
白い壁に大きな穴があく。
八破の威力は想像していた以上に凄まじく、政宗を城壁の外にまで追いやってしまった。
滅騎の上で高見の見物をしていた元就は、「姫若子にしてはやるではないか」と珍しく元親を褒める。
と小十郎は政宗が倒れている場所へ直ぐさま駆け寄った。
見ると政宗が「ってえ…」と胴体を押さえながら、起き上がろうとしている。
直撃を喰らった胴の部分はひびが入っていた。
更には、背中や袖や籠手、臑当など鎧の所々に傷が出来ている。
しかしあれだけの攻撃を喰らって、痛いの一言で済ます政宗に驚く。
「大丈夫伊達ちゃん!?」
「あんなの俺に効くかよ。大丈夫だ」
平気そうな顔をしていてもやはり心配だ。
あんな攻撃を何回も喰らえば、いつかは死ぬんじゃないのかと不安になって泣きそうな顔をしている。
そんなの頭を撫でて、安心させようとする政宗。
「てかお前なぁさっさと着替えろっつったろ?
そのカッコを他の奴らに見られる事の方が俺にとってはよっぽど重大なんだよ」
服についた埃を払いながら立ち上がり、向かってきた元親を迎え撃つべく刀を握る。
「WAR DANCE!」と叫ぶと、一本だった刀は六本に増え、六爪流へと姿を変える。
普段は一本の刀で戦うが、どうやら本気を出したらしい。
重そうに見えるが、政宗はものともしない。
そして再度激しくぶつかり合う2人だったが、正直な話は戦う事をやめて欲しかった。
だが2人を止める力は今のにあるはずがない。
轟音が轟く中、ただ見守る事しか出来なかった。
「ぶはっ!」
所変わって、湯舟で浮いていた佐助はようやく復活。
危うく溺死するかと思った。
真田十勇士の長たる者が、湯舟で溺死なんていくらなんでも恥ずかしすぎる。
佐助は、湯に濡れて滴る前髪をうざったそうにかきあげた。
ふと横を見ると、隣では幸村が未だに泡を噴き出しながらプカプカと浮いていた。
心なしか、先程より泡の噴き方が激しくなっているようにも見える。
佐助は急いで幸村を起こして、目を覚ますよう往復ビンタをカマした。
頬がよさ気に腫れ上がった頃、ようやく幸村は意識を取り戻した。
酸素を求め、激しく呼吸を繰り返した後、自分の頬を容赦なくひっぱたいた佐助に抗議をし始める。
「何をする佐助!」
「何って真田の旦那が気絶したまんまだったから
手っ取り早く起こすにはこれが一番良いかなーって…」
「だからと言って主に対して往復ビンタはなかろう!?」
そう怒鳴ると、佐助は「大将との殴り愛よかマシでしょーが」とさらりと答えた。
お館様は別だ!と後ろでギャーギャー叫ぶ幸村をほっといて、佐助は辺りを見回し状況を把握する。
とりあえずこのままの格好ではアレなので、着替える事にした。
鎧を着て再び外に出てみると、城の外で政宗と元親が戦っている。
一見互角に見える戦いだが、政宗が一枚上手と言った所だ。
六爪流になった事で元親を押している。
政宗の戦いぶりを見て、幸村は激しい劣等感を感じた。
今の未熟な自分では、政宗はおろか元親にすら敵わないのでは…。
死合になれば、恐らく数分で討ち取られてしまう。
ふとそんな考えが頭をよぎった。
そんな幸村を隣で見ていた佐助は別の話題を振る。
「さーてと…一応同盟組んだんだし俺様達も助太刀してあげなくちゃね。
このまま見てるだけってのもアレだし。
鬼の旦那は独眼竜の旦那に任せてさ、俺様達はあれを何とかしようよ」
佐助が指を指したその先には滅騎、そしてその上で退屈そうにしている日輪の申し子。
長曽我部軍は元親の応援で、幸村や佐助には見向きもしない。
例え襲って来たとしても伊達軍が何とかしてくれるだろう。
………多分。
いざとなったら、小十郎に変身して貰えば問題ない。
幸いにも滅騎は準備中で、今すぐ米沢城を砲撃する事は出来ないようだ。
滅騎を破壊するチャンスは今しかない。
そして現在無防備状態の元就。
上手くいけば短時間で押さえ込めそうだ。
だが、現実はそんなに甘くない訳で…。
「む?何でござるかこの緑の輪は?」
滅騎に近づいた幸村は、自分の立っていた場所に小さな緑色の輪を見つける。
それはだんだん静かに光り始め、踏んでしまった幸村を巻き込み、地面で爆発した。
元就の固有技・先の手「発」だ。
まさかと思い、佐助は周りを見ると辺り一帯、沢山の地雷が張り巡らされている。
無防備に見えた元就だったが、智将にぬかりはなかった。
「だっ…旦那!大丈夫!?…って黒焦げじゃないの」
「い…一瞬あの世が見えた…げほっ」
比較的小規模な爆発だった為、致命傷には至らなかったが、これを連続で喰らうと流石にマズい。
元就は、政宗や元親のように自分から積極的に攻めていくような武将ではない。
どちらかというと、敵が自分の仕掛けた罠にかかるのを待つ、受け身のタイプだ。
今まで戦ってきた者とは一味違う。
早速罠に引っ掛かった幸村を見て、元就は小気味よいと言った感じで笑みを浮かべている。
滅騎の上から見下ろされている幸村は、元就の小馬鹿にしたような視線にムカッとなった。
降りて正々堂々勝負しろと怒鳴る幸村だったが、元就が降りてくるはずがない。
佐助は滅騎の上まで行くしかないと判断し、烏を呼び出した。
「真田の旦那はここで待ってて。ここは俺様が何とかするよ」
「何を言う佐助!某も戦うぞ!」
「猪突猛進の旦那じゃあ絶対あの人の罠にかかって自滅するのがオチだよ。それに…」
言葉を詰まらせ、佐助は真剣な表情になった。
いつもなら飄々とした態度を取る彼にしては珍しい。
一体どうしたのかと、やや緊張気味の幸村が聞くと佐助は叫んだ。
「俺様ってこの小説で戦った場面さ、川中島しかないんだよね!
しかも伊達の旦那にやられちゃったあげく気絶して
ちゃんに本陣まで運ばれてるんだよね!
たまにはさ、こっちで活躍しとかないとこのままじゃ
俺様が忍って事忘れられちゃうよ!!」
もう手遅れだろう…と幸村は心の中でツッコんだ。
主張する佐助でさえ、時々自分の本職を忘れてしまいそうになる時がある。
「てな訳で今回は俺様が頑張るから真田の旦那はそこで待ってて。
むやみやたらと動き回らないように」
そう言うと佐助は烏につかまり、滅騎の上まで上がっていってしまった。
幸村が何やら下で抗議をしているが、聞こえない振りをする。
今日は耳日曜日。
佐助が着地すると、既に元就は輪刀を構え、待ち受けていた。
太陽の光で元就の武器が輝いている。
政宗のような威圧感は感じないが、背筋が凍るような感覚に陥った。
「武田の忍風情が我に勝てると?」
「なめられたもんだねー。言っとくけど俺様を甘く見てたら痛い目見るぜ?
んじゃま、いざ忍参る!」
そして政宗達は…。
「てめえさっさとくたばりやがれこの変態乙女!!」
「んだとこのへたれ筆頭!!田舎者がー!!」
戦闘が長引き、中々決着が付かないのでいい加減キレ始めた竜と鬼。
半ばヤケクソで、お互い罵声を浴びせながら戦っている。
「もうやめてってば2人共ー!!!」
の叫びが空しく響く。
ちなみに小十郎は元親の弩九を政宗が回避した際、
うっかり喰らってしまい重傷だった…。
Next
--------------------------------------------------------------------
もっとマシな文章の表現は出来ないのか私…!!(ガクッ!)
頭の中で2人のバトルは走馬灯のように進んでいってるのに
それを文章化するのが難しくて指が…指が追い付かない!!
いやまぁ…書くのは楽しかったんですが…。
ギャグと名前変換が…少ない…。
真面目な話を書くとなかなか進まないですね;;
3000文字到達した時点で「ギャグを…ギャグを入れたいー!」と根を上げました(笑)
対元就戦では本当は主従がタッグ組んで…ってな設定だったんですが
いかんせん佐助が川中島以来全く活躍してなかったので
オクラの女王VS甲斐のおかんに(何じゃこの組み合わせ…)
ちなみにバトル書く時に聞いていた音楽は何故か鉄拳5のサントラ(何)
ブラウザでお戻り下さい。