『第40話「京へ」』
瀬戸内コンビと同盟を組んでから、はや二週間が経った。
その話はすぐに他の地方に広まった為、他勢力との争いが格段に減り、
宿敵織田・豊臣軍も特に目立った行動を起こす事もなく、達は平和な毎日を送っていたのだった。
乱世と言われているのが嘘のよう。
戦のない生活とはいえ、今日も今日とて鍛練だけは怠らない幸村。
その隣で槍さばきを見ていると屋根の上に座ってくつろぐ佐助。
3人でのんびり過ごすのが毎日の日課だった。
「良かったねー同盟の件でお館様が快諾してくれて」
「うむ!恐いもの無しとはまさにこういう事でござるな」
「これで俺様達も暫くゆっくり出来そうだ。
以前は偵察やら何やらでコキ使わされたし…ふあぁ」
ちなみに同盟を結んだ数日後、各国から誓詞
(同盟の折に違約がない事を誓う文書)が送られて来たのだが、
元就以外の文書には「抜け駆け禁止」と書かれてあったのは又別のお話…。
今日は快晴、気温も丁度よく陽の光を浴びていると心地良い眠気に誘われる。
佐助は大きくあくびをしてゴロリと寝転がった。
多忙な毎日を過ごしてその反動がきたのか、怠惰全開。
と言っても、家事一般はかかさずやっているが。
「それはそうと…何やってんのちゃん」
「ユッキーに槍の使い方教えて貰ってるんだー♪」
見るとの左手には幸村が昔愛用していた紅い槍が。
どうやら幸村から借りたらしい。
自分の身は自分で守れるようになりたいという理由で幸村にお願いしたようだ。
が今手にしている槍は十文字槍で、武将が用いる武器である。
敵の攻撃を受け止め、相手の武器を振り下ろしたり、
致命傷を与える事が出来るが、使いこなすには技術的な熟練を要する為、
一般の兵士には不向きなのだ。
ちなみに現在幸村が使用しているのはそれの進化系の鎌十文字槍で、
穂の根元部分の両側に枝があり、それがU字型になっているのが特徴だ。
意気込んで武器を手にしたものの、槍を振るうのは予想以上に大変で、その重さ実に2kg。
幸村は二槍なので、合計すると4kgにもなる。
男ならまだしも、女の腕力でそれを振り回すのは少々キツい。
「う〜重い〜;兵士の人達ってこんな重いの持って戦うんだね…」
「これも慣れでござる。
某も槍を持ち始めた頃は上手く使いこなせず、あくせんくとうしていたのだ」
それを聞いた佐助は、幸村が幼かった頃の事を独り言のように話し始めた。
「あーぁ思えばあの頃から俺様苦労してたんだよね〜。
真田の旦那ったら初めて槍持った時、はしゃぎまくって所構わず
振り回した挙げ句、止めに入った俺様は危うく斬られそうになってさー…」
おまけに信之様は焼かれちゃったし…と付け足した。
あの頃はやんちゃだったから仕方ないだろうと反論する幸村だったが、
今も十分やんちゃである。
17にもなってまだ子供っぽさが抜け切れていないというか何と言うか…。
昔の方がまだマシだったかもしれない。
今では幸村を止める事、それすなわち焼死を意味するのだから…。
「他の武器にしたら?例えば弓矢とか苦無とかさ」
「あたしも最初はそう考えたんだけど…でもやっぱ槍使ってみたかったし…」
それに弓矢や苦無を使えば味方に当てそうで怖い。
六爪流なんて政宗にしか出来ないし、
佐助の甲賀手裏剣は投げても、受け止める時に自分が怪我しそうだ。
そういえばマロって東海一の弓取と言われてるのに、
何でゲーム中では武器が扇なんだろう…。
そんな事をぼんやり考えていると、
幸村に槍の持ち方やら構え方を指摘されてしまった。
「殿、槍はこう持ってこう構えるのでござる」
まず、幸村は左足を前に出す。
そして右手で柄の先端を、左手は中握部を持った。
は隣で一生懸命聞きながら真似をしていた。
いっつも信玄の後ろをひっついてばかりの幸村が、
まさか人に教える側につく日が来ようとは…。
屋根の上から見ていたおかんは嬉しいのか涙ぐんでいた。
「ん?こう…かな?」
「持ち方が少し違うな…ここをこうして…」
幸村がの手を取り、正しい持ち方を教えてやる。
まさに手取り足取り(政宗ならばオプションで腰取りまでついてくる)
しかも何気に密着。
気付いた頃には、と手が重なりあっていた。
「…破廉恥でござるぁぁああ!!!」
「え!?何が!?」
顔を真っ赤にさせて名言を叫ぶと、ズササッとから離れた。
そして庭の隅っこにうずくまって大量の鼻血を出しながら、
紅蓮の鬼は色々と呟き始め…否、叫び始めた。
「いいい今…今殿の手に触れっ…触れっ…!!
しかも密着!やりましたぞぅお館様ぁああ!!」
「旦那…全部声に出てるよ」
手が触れ合っただけで破廉恥なら、俺様や政宗が今までにしてきた行為は
一体どーなるんだよとツッコミたくなった。
と言うか、鼻血の出し方や思考が誰かさんに似てきた。
願わくば、あの変態のようにはならないで欲しい。
佐助がそう切に願っていると頭上から何かが飛んで来た。
黒くて丸い物体がどんどん佐助に接近してくる。
何だあれ?と謎の物体を見つめていたが、正体が分かった途端ぎょっとした。
黒くて丸い物体、それはお久し振りボンバー望月の新作の爆弾だった。
「ぎゃああああああ!!!」
佐助の断末魔と共に、チュドン!と派手な爆発音が辺りに響く。
見張りの兵士達が何だ何だと寄って来る。
庭からひょっこり現れた望月は、嬉しそうにガッツポーズをした。
「望月…事ある毎に爆弾を投げる癖、どうにかならぬのか…?」
これでは佐助が可哀想だ、と言う幸村に
「いやーこれも一つの愛情表現だと思えば!」と笑顔で一蹴。
その顔に反省の色はなかった。
ブスブスと黒い煙を体中から噴き出す自分の主を放置して、望月は幸村にある事を伝えた。
「それはそうと幸村様!今度、都で祭があるそうですよ〜」
「何!?それは本当か!」
祭という言葉に即座に反応する。
幼い頃、兄・信之に甲斐のとある祭へ連れてって貰った事がある。
幸村にとっては大事な想い出の1つであり、
今でもその時の事は鮮明に覚えている。
しかし、信玄に仕えてからは修行に明け暮れる毎日だった為、
なかなか行く事が出来なかったので、童心に戻って思いっきり遊びたいらしい。
そして、は祭と聞いてとある人物を思い出す。
前田慶次。
前田家の風来坊で、曰く「押しの一手な人」だ。
自由に恋し、人を愛する傾奇者として有名な男である。
ゲームでは京の都でのびのびと生活していたが、
前田夫婦が追ってきた為、都を出て自由気ままな旅をしていると聞く。
今回果たして慶次に会えるだろうか…。
「殿は行くでござるか?」
「うん、もちろん行くよ!絶対!」
よし決まり!と言わんばかりのポーズを取ると、
2人は佐助の方へ振り向き、笑顔でこう言った。
「「と言う訳でおかん!付き添い宜しく(頼む!)(ね!)」」
「やっぱり俺様ぁ!?」
祭は大勢で行った方が楽しいのは佐助も分かっている。
しかし付き添いだけでなく、遊ぶ為の金も払わされそうだ。
昔、信之と幸村が甲斐の祭に遊びに行く際、
幸村に誘われたので付いていったのはいいが、それはそれは大変だった。
祭の最中はぐれてしまい、探すのに大変だったし、やたらと食べるし、
色々な屋台に連れ回されるわで、その日はくたくたになりながら城に帰った記憶がある。
ある意味、任務よりも過酷だった。
そんな訳で佐助は早々に辞退しようとした。
「御免、俺様今回は遠慮しとく(俺様も財布がね…;;)」
じゃっ!と退散モードに入ろうとすると、途端には悲しそうな顔をし始めた。
さっきまで快晴だった空が急に暗くなる。
このまま行けば、大雨洪水は確実だ。
「…佐助…ついてってくれないの…?」
上目遣い+涙目攻撃で、流石の猿飛佐助もこればかりは太刀打ち出来ない。
何より無自覚にしているのだから、たまったものではなかった。
の顔を見たその5秒後、おかんはあっけなく折れてしまう。
ついでに、隣で見ていた幸村もノックアウトだった。
「…分かったよ、ちゃんがそこまで言うなら…しょうがないなぁ」
「本当!?やった!」
さっきまで暗かったの表情が、嘘のように明るくなる。
この娘の笑顔を見たいが故に、ついつい言う事を聞いてしまう。
俺様も甘くなっちまったもんだ。
「でも、これだけは約束!絶対おかんから離れない事!」
「「承知致した!!」」
しかし、どんなに甘くなってもおかん精神だけはしっかりしていた佐助だった。
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「京の都篇」開始です。
今回は序盤なので短め、と言うか凄い短い。
そして在り来たりな展開で御免なさい;;
実は慶兄出したくて書いたんですが後先考えずに始めたんで
どんな話にしようか困ってます(何ですって)
多分短編になりそう。
もういっその事、前編と後編に分けてみようかな。
ちなみに伊達殿に武器の使い方教えて貰うと、
「手取り足取り」じゃなくてひたすら「腰取り腰取り腰取り」だと思う(え)
次回は瀬戸内夫婦も出したい…(何)
ブラウザでお戻り下さい。