『第41話「人探し」』
「就ちゃん」
「…」
「就ちゃんよー」
「…」
「おいコラ、女王様ー」
「…」
先程から元親は執務を黙々とこなし続ける元就にひたすら呼び掛けていた。
だが元就は完璧無視。
まるで元親の存在がそこになかったかのように書物を読んでいる。
折角土産を持って遊びに来てやったのに(半ば押しかけだったが)
愛想笑い位したらどうなんだと元親はブーたれた。
かれこれ城に来てから30分は経っている。
今日は元就に伝える事もあるのでこのまま帰る訳にもいかない。
元親は最終手段に出た。
「…元就のあほー」
「誰が阿呆だ誰が!!」
バン!と読んでいた書物を机に叩き付け元就は怒鳴った。
やっと反応しやがったとニヤニヤしながら笑う元親。
知り合った当初は怒声だけでビビっていたが今では慣れたのか、
からかう事も出来るようになった。
こんな事が出来るのは元親位のものだろう。
阿呆と言われて怒り狂うオクラの妖精を適当になだめた後、元親は本題に入った。
「なぁなぁ今度京で祭があるらしくてよー。どうだ?お忍びで行かねえ?」
「断る」
「「…」」
一蹴。
口元をヒクつかせ固まる鬼を尻目に元就は黙って机に向かい、
再び黙々と執務をし始める。
あっさり断られた元親だったが、ここで引き下がる乙女…
いやいやへたれではない。
鬼の形相で元就の胸倉を掴む。
「こんの引きこもりがー!!!たまには外に出やがれヒッキー毛利!
てめぇそれでも日輪の申し子かー!!??」
「ええい、変態の分際で我に触れるな!貴様気は確かか!?
京と言えば織田の領地ぞ!」
言い争うあまり二人同時に戦極BASARA。
障子やら護衛の兵士やら何やらが吹っ飛ぶ吹っ飛ぶ。
吉田郡山城の一角が眩しい位に輝いていた。
一応この城は毛利の重要拠点。
しょーもない事で壊さないで欲しいと毛利家歴代当主達は天から思っていた。
「わぁ〜すっごーい!!」
数日後、京にやってきた真田主従との3人。
京の都は夜にも関わらず、まるで昼間のように明るかった。
沢山吊るされている提灯の光が夜の闇を優しく照らしている。
色々な屋台が並び、広場の中央では太鼓の音が鳴り響く。
その音に合わせて子供から大人まで老若男女踊ったり歌ったりの
どんちゃん騒ぎだった。
さぁ今から思う存分遊ぼうとした矢先、幸村が抗議をし始める。
「やっぱり納得行かぬ!」
「何言ってんの真田の旦那。
この場所を治めているのが誰なのかは知ってるでしょー」
「そうだよユッキー。そのままの姿だと絶対バレるから変装してきたのに…」
そう、今回は素性がバレないように変装してきたのだ。
何と言ってもここは織田の領地。
は普通に髪を後ろに結い涼しい水色の浴衣を着ていた。
佐助はいつも着ている迷彩柄の忍装束ではなく、
あまり目立たない控え目な緑色の浴衣で髪は下ろし
フェイスペイントもきちんと取ってある。
米沢城で風呂に入った時、政宗が分からなかったのだから多分大丈夫だろう。
しかし幸村が問題だった。
や佐助と違い真田源次郎幸村の名前は「日本一の兵」「紅蓮の鬼」として
その名を全国に轟かせている。
知らない人間もそうそういないだろう。
存在自体かなり目立つので髪型を変えたりして試行錯誤はしてみたものの、
顔を見たら一発で分かってしまう。
悩みに悩んで考えた結果、は「女装とかしてみたら?」と遊び半分で提案。
最初真田主従は「絶対似合わない!!」と揃って反対したが、
(それ以前の問題)そこへ偶然通りがかり話を聞いてしまった鎌之助が
ノリノリでの提案を実行。(半ば強制的に)
意外にも似合ってたので採用されてしまった。
ちなみに信玄が幸村の女装した姿を見た時は、色んな意味で腰が抜けたらしい。
「このような姿…知り合いに見られでもしたら…某…某…!」
「大丈夫だよ旦那。
祭の雰囲気にのまれて自分の格好の事なんてすぐ忘れちゃうから」
「そうだぞ、幸村。忍を見習え。
任務によっては女装しなくちゃならない時だってあるんだからな。なぁ佐助?」
「「「「…」」」」
どさくさに紛れて会話に混ざった者が一人。
その人物が誰なのか幸村が一番良く知っていた。
「あっあっあっ兄上ー!!??」
「久し振りだなぁ幸村。暫く見ない間に大きくなって…
可愛い女子まで連れて歩くようになったか」
お兄ちゃんは嬉しい、と笑いながらパニック状態な幸村の頭をポンポンと叩く。
そして信之の後ろには戦国最強本多忠勝の娘・稲姫がいた。
優しく笑う信之とは正反対に、祭の時でも凛々しい表情を崩さない。
軽く挨拶をするときちんと返してくれるが、全く笑わない。
幸村はそんな稲姫が少し苦手だった。
現在この2人は徳川軍についている為、事実上敵同士。
いずれは戦場で戦う事になるかもしれないのだ。
それ故に、何だか気まずい。
信之にはすべき事が沢山あるようで、今から稲姫と共に城へ帰る所だった。
今回は息抜き程度に来たらしく長居はするつもりはないらしい。
幸村は少し寂しく思ったが、兄を困らせる事はしたくない。
他愛ない会話をした後、幸村達は信之と稲姫を見送った。
「あの人がユッキーのお兄さんかー、すっごい似てるね!」
「似てるけど中身は全っ然違うんだよね、これが」
真田の旦那も信之様みたいな人になってくれたら俺様も苦労しないのに…と
本音を漏らす佐助。
隣にいたは、まさかこんな所で信之に会えるとは思わなかったようだ。
ゲームではモブ武将として登場するキャラだが、会えて嬉しい。
今度は幸村達の父・昌幸を拝みに行こうと密かに決意した。
とりあえず一行は2人を見送った後、何処から見て回ろうかとブラブラ歩きながら相談していた。
その矢先ー…。
「ー!!」
「その声は…アニキー!!」
信之・稲姫と入れ替わりで元親がこちらに向かって走ってきた。
しかも飴・風船・風車・水笛などを両手いっぱいに持っていて頭にはお面が…。
海賊とは程遠いその姿に真田主従唖然…。
もしかしたら遊びっぷりは幸村以上かもしれない。
この男の姿を見て一体誰が四国統一を果たしたあの西海の鬼・長宗我部元親だと思うだろう。
両手塞がり状態にも関わらず、まるで長い間会えずにいた友との感動の再会を喜ぶかのようにひしっと抱き合う2人。
端から見たら兄妹のようだ。
「鬼の旦那も来てたんだ!…それにしても随分遊びまくったみたいだね…」
「おうよ!って今はそれどころじゃなくて!!元就見なかったか!?」
「毛ちゃん?見なかったけど…もしかしてはぐれちゃったの!?」
途端、元親が凹んでしまい地面で体育座り。
普段引きこもりがちの元就を外へ連れ出し気分転換させる為、
半ば強引に引っ張りながら祭へ来たものの気が付いたら
いなくなってしまったという。
人通りが激しいこの人混みの中、元就を探し出すのは至難の技だろう。
せめて鮮やかなオクラハットさえかぶっていれば、
少しは見つけやすくなるのだろうが…。
「…分かった!私も毛ちゃん探すの手伝うよ!」
「しょうがないなぁ…俺様もこっそり屋根の上から探してみるよ。
上から探した方が手っ取り早いし。旦那はちゃんとはぐれないようにね」
「うむ!」
そんなこんなで元就大捜索が始まった。
効率よく探す為、佐助と元親・と幸村の二手に分かれる事に。
元就を見つけていなくとも時間になったら、
一旦近くの神社の前で落ち合うという約束をした。
こちらがはぐれてしまったら元も子もないからだ。
捜索中に織田夫妻やその小姓・蘭丸、そして鎌を振り回して
追いかけてきそうな明智と遭遇しませんように。
以外のメンバーは皆そう願った。
見つかって万が一、正体がばれたらハチの巣、又は惨殺されかねない。
もはや祭を楽しむ所ではなかった。
NEXT
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だらだら続きそう&何処で終わらせようかすっごい迷ったという理由から
一旦区切りました;;
元就って誰かと行動するのがすっごい苦手な子だと思うので、
一匹狼ならぬ一匹狐(でも寂しがり屋)になりそうです。
珍しく皆で行動してると思ったらいつの間にかいなくなってるとか。
さて元就は何処に行ったんでしょうかね。
ブラウザでお戻り下さい。