タイトル『第43話「京の祭」』
暗闇の中、沢山の提灯に明かりが灯され、まるでその光に導かれるように人々が集まり、賑わっていた。
そして中央の広場では、体格のいい男が和太鼓を叩き鳴らし、
それに合わせて笛の音が響き渡り、太鼓を囲むように町の者達が踊り回っている。
祭に来た者達も、その様子を楽しみながら出店を見て回り、大人も子供も皆祭を大いに賑わせていた。
そんな中、只一人だけ下を俯き、眉間に皺を寄せる男がいた。
冷酷無比と呼ばれてはいるが、その実、極度の寂しがり屋でツンデレと有名な毛利元就だ。
彼は腕を組み、つりあがった眉を更につり上げながら歩いていた。
やはり祭など来なければよかった…。
周りは人ばかりで五月蠅い上に元親とはぐれて、ここが何処だか全く分からん。
そもそもこんな馬鹿騒ぎの何が楽しいのだ。
こんな事なら城で仕事をしていた方が良かったな…。
元親め…我をこんな目に遭わせおって…後でシバき倒してやる。
それにしても時間の無駄だな…策の一つでも考えるか。
「信長様〜飴買って下さいよー」
「ふはははは丸めが〜」
くっ、気のせいだろうか嫌な単語が飛んできた…信長だと?
第六天魔王と呼ばれているあの男がこのようなふざけた場所に来るはずは…
いた。
人込みを避ける為、道の脇に立っている樹に寄り掛かっていた元就が
「まさかな」と思いながら声がした方へ振り向くと、そこには二頭身の信長が蘭丸に抱き上げられていた。
そしてその隣には浴衣姿の濃姫が、3人揃って家族水入らず(?)で歩いていた。
その光景に元就は唖然とする。
けっ、計算してないぞ!!!
天下統一の夢を阻む最大の障害は、混乱する元就の存在に全く気付く事なく、
自分の小姓と共にコンペイトウを食べ始めたのだった。
「うわーん、ユッキーともはぐれちゃったよー!!」
一方その頃、最悪な事態が起きていた。
何とは一緒に歩いていた幸村とはぐれてしまったのだ。
「あーぁ参ったねこりゃ」と溜め息をつきながら大きな刀を担ぎ直し、隣で笑う慶次。
2人の前を歩いていた慶次は全く気付かなかったようだ。
幸い慶次がいてくれた為、が一人ぼっちになる事はなかったが…。
自分のあまりの不甲斐なさには肩をガクーッと落とした。
途中までは確かに手を繋いでいた、それも手が痛くなる程。
が、とある出店にあった見事な飴細工に気を取られ、一瞬気を抜いてしまい幸村の手を離してしまったのだ。
その後すぐに気付き慌てて2人を探したものの、慶次だけは何とか(それももう奇跡的に)見つけられた。
しかし、幸村の姿は何処にも見当たらず今に至る・・・。
「うぅ…助けておかーん」
今は別行動を取っていて、ここにはいない武田の忍に無意識に助けを求めてしまう。
すぐ側にいないせいか何だか寂しい気分になった。
慶次はそんなの頭をよしよしと優しく撫でる。
「おかんって…あの迷彩服着た忍の事かい?」
「うん、佐助って言うの。よく分かったね」
「この前、上田城に遊びに行った時にさ、幸村がそう呼んでたから。
それにしても、あの2人見てからずっと感じてた事があるんだけど・・・」
「ん?何何?」
「あいつらってさ、主従っていうよりは…何て言うか…こう…」
「「母親と子供みたいな感じ?」」
と慶次はお互いに吹き出した。
「でしょー!?慶兄にもそう見えてたんだね。私も前からそう思ってたんだ!
武田のお母さんって称号貰ってもいい位、面倒見いいし、
何より割烹着としゃもじが面白いくらいに似合ってるし!・・・ってどうしたの?」
先程から自分の顔を見つめてくる慶次には首をかしげ尋ねた。
「いやさ、初対面なのにこんな事言うのは変だと思われるだろうけど、
あんたってあの忍の話してるとすっげえ楽しそうだよな。見てるこっちまで楽しくなっちまうよ」
慶次にそう言われて、は「え!?」と面食らった。
自分はそんなに楽しそうに喋っていたのだろうか。
普通に喋っていたつもりだったのだが…。
慶次の言葉に動揺しているに詰め寄り、更にこう言った。
「もしかして…あの忍に恋してる?」
「そっそそそそんなんじゃないってば!!!」
一瞬の間が空いた後、の頭からボン!と湯気が飛び出しタコに負けない位に顔を真っ赤にしながら否定した。
確かに佐助の事は好きだ。
佐助だけじゃない、勿論幸村や信玄、政宗達の事も平等に大好きである。
正直なところ「恋してる」のかどうか自分じゃ分からない。
今までこっちの世界に来てから皆とは友達のような関係を築いていたから。
「…大体そんなの分からな…ひあぅあぁぁぁ!?」
「分からない」と言おうとしたその時、突然頭に何かが降ってきた。
驚いたは思わず変な悲鳴をあげてしまう。
頭に降ってきたのは何と慶次が探していた小猿の夢吉だった。
正確に言うと、一番近くにあった樹の上からの頭に飛び乗ったというのが正しいだろう。
動物が大好きなは「可愛い〜v」と言いながら夢吉を抱き上げると頬擦りし始めた。
夢吉も何だか嬉しそうでされるがままだ。
「いいなぁ慶兄は、こーんな可愛い動物がいつも一緒にいて。私も欲しいよ〜」
「へへっ。でもその言葉そっくりそのまま幸村達に返してやりてえな。
いいねぇ、こーんな可愛い娘がいつも一緒にいてってさ」
「なっ…!!///」
顔を赤らめるの姿を見て昔の人を思い出した。
以前なら自分にも可愛い娘が近くにいた。
誰にも優しく微笑みかけて楽しい気持ちにさせてくれる人が。
そして自分はその娘の事が大好きだった。
生まれて初めて好きになった大事な女性。
たが今はもうこの世にはいない。
その娘は…ねねは秀吉に…。
「慶兄?」
気付くと、目の前にいると夢吉が心配そうな顔をしながら自分を見つめていた。
どうやら暗い表情になっていたのだろう、が「大丈夫?」と聞いてきた。
そんなに「何でもない、大丈夫だ」と、いつもの笑顔で答える。
折角の祭で、辛気臭い顔などしていられない。
祭は楽しまなくちゃ損損!と心の中でそう自分に言い聞かせた。
も元の元気な慶次を見てホッとしていると今度は1羽の大きなカラスが肩にとまった。
驚いた夢吉は慶次の頭に移動し隠れてしまう。
よく見るとそのカラスは佐助が可愛がっている愛鳥だった。
足に何か紙がくくりつけられている。
その紙を開くと、こう書かれていた。
『真田の旦那はこっちで見つけたから』
幸村は無事保護されたらしい。
だが肝心の元就の事には触れられていない。
どうやらまだ見つかっていないようだ。
もうすぐ佐助達と落ち合う時間になろうとしている。
今頃元就はどうしているのだろうか、心配して辺りを注意深く見ていると
一際大きい樹の下に立っている男の姿が目に入った。
「あーっ毛ちゃんいたーっ!!!」
が指を差した方向には、1人ぽつんと佇む元就の姿が。
当の本人はこちらに気付いた様子もなく、
辺りを明るく照らしている提灯の光をただじっとぼんやりした目で眺めている。
「じゃあ、俺は皆に『見つかった』って教えてくるから、はあの人連れてきなよ。待ち合わせの場所って何処?」
「近くの神社の前なんだけど…いいの?」
「ああ、じゃあ行ってくる」
慶次の言葉に甘える事にした。
は慶次を見送った後、道行く人々を掻き分けて何とか元就の所まで駆け寄った。
「毛ちゃん、こんなとこにいたんだね!皆で探してたんだよー!」
「貴様は、確か武田軍の…」
の顔を見るや否や、元就はあからさまに嫌そうな顔をした。
見るからに「あっちへ行け」というオーラを出している。
何故かは知らないが、どうも自分は邪険にされているらしい。
元就と出会った時に余程嫌われるような事を自分はしただろうか…。
とりあえず見つかった以上、何としても自分が元就を連れて帰らねば…きっと元親は心配しているに違いない。
「あっ…あのね、佐助達と落ち合う場所まで来てくれないかな?…ね?」
一緒に行こう?と手を伸ばすと、その手を元就に思いっ切りはたかれてしまった。
拒絶。
「お前と行く位なら1人で行く」と言いたげな目をしている。
はたかれた右手はすぐに赤くなった。
元就は痛そうに手をさすっているをほって、さっさと歩き出した。
慌てて元就の後を追いかけるが、あまりの気まずさにはどう声をかければいいのか分からなくなってしまい、
2人の間に嫌な沈黙が流れ始める。
周りはどんちゃん騒ぎだというのに、それすらも聞こえない位の静けさが…。
は何だか泣きそうになった。
その頃、や慶次とはぐれてしまい、別行動をしていた佐助達に無事保護された幸村はと言うと…
「どーして真田の旦那が迷子になっちゃってるのかなぁ…?」
「だっ、だからっ!…それはそのー…。す…すまぬ…はぐれぬように手を繋いではいたのだが…」
「手を繋いでた?ほぉ〜へぇ〜仲良く手ぇ繋いでたんだ〜、へぇ〜」
「おっ、おい猿飛、もうその辺にしてやれよ。就ちゃん探さないと…」
おかんの制裁を今まさに食らわんとしていた…。
元親は、どんどん黒いオーラを放出する佐助を止められず、ただただ見ている事しか出来なかったそうな。
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久々の更新です。
まず懺悔、御免なさい御免なさいだいぶ長い事書いてなかったので文章が凄くおかしな事になってます。
隅ちゃんに読んで貰ったらだいぶ手直しする個所指摘されました;;
さてやっとこさ就ちゃんが見つかりましたね(今度は幸村とはぐれちゃいましたが…)
就ちゃんがヒロインちゃんを嫌う理由は…次回明らかに出来たらいいなぁ…と。
んで今回は慶ちゃんとの会話をメインに書いてみました。
相変わらず慶ちゃんの喋り方がイマイチ分からんままで始終苦戦しましたが(滝汗)
ど…何処で区切ろうか、かなり迷いました今回;;
それにしてもゲーム中に出てきたねね(声しか出てませんが)って
何が原因でお亡くなりになったんでしょうね…。
ブラウザでお戻り下さい。