タイトル『第52話「双竜一騎討ち!」』
大和の地へと戻る途中で寄った城の天守にて、
松永は手に入れた竜の宝「無限六爪流」の刀の1本を鞘から抜き、己の顔を鮮明に映す刃を見つめていた。
刃は松永に「気安く触るな」と威嚇するかの如く蒼く光る雷を纏いバチバチと音を発する。
迂闊に触れば感電しそうな勢いだ、そんな所は何処かしら持ち主に似ている気がする。
刀を充分に堪能したのか再び鞘に戻した後、試しに帯刀してみたのだったが…。
「(重っ…!!)」
刀の重さに思わずカクッと身体が傾いてしまう松永。
いつも6本もの刀を腰に携えて戦場を走り回る政宗にとっては何て事のない重さも、
慣れていない他者が付ければ重し以外の何物でもない。
松永は「彼は何故6本も刀を付ける気になったんだろう」とふと疑問に思った。
それと同時に今ここに誰もいなくて良かったと、ちょっぴり安心したのだった。
そんな松永の元に、息を切らせて天守へと昇ってきた兵士が勢いよく扉を開ける。
「御報告致します松永様!数日前に牢屋に閉じ込めた娘が斥候達と脱獄を図った模様!
門番によりますと、どうやら伊達軍の者が城に侵入したようです」
「鼠が忍びこんでいたか…奴を差し向けたまえ、最近雇った…」
「!あの例の…伝説の忍ですか」
「ああ。私も行こう。さて…どうするとやら…」
私の手から逃げられるものなら逃げてみろ
余裕の笑みを浮かべ、松永は天守より遥か彼方の方角をみつめていた。
その方角には人々から「亀ケ城」や「城山」と呼ばれた長谷堂城がある。
嵐が来る前触れなのか、早くも空には暗雲が立ち込め始めたのだった。
その暗雲が後に達を苦しめる事になるなど、彼女達が知るはずもなかった。
同刻−…奥州米沢城の一角では、それはそれは激しい一騎討ちが繰り広げられていた。
無理をしてでも松永の元に行こうとする政宗と、
そんな彼を引きとめるべく主に刃を向ける小十郎の意地と意地の張り合いが今まさにぶつかる。
殺気立つ雷は一騎討ちをしている相手だけでなく、
何事かと見に来た周りの兵士達にすら容赦なく襲いかかった。
一番傍にいた綱元は、ただ黙って2人の戦いを見つめている。
彼には、既にどちらに軍配が上がるのか分かっているのかもしれない。
「どうした小十郎!俺を止めてぇんだろう!?全力で来い!!」
「Come on!」と叫び小十郎を挑発する政宗。
だが、よく見るとやはり傷を負っているだけに、その表情にはいつもの余裕というものがなかった。
息も荒く乱れている上に太刀筋や動きに鋭さがない。
それでも隻眼の竜はなおも吼え続ける。
今にも倒れそうな主君を前に小十郎は見ていて辛かった。
「…政宗様っ!!これ以上は…!!」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ!!」
小十郎の言葉に政宗は耳を傾けようとしなかった。
政宗のFANTOM DIVEが小十郎の制止を振り払うかのように繰り出される。
紙一重で避ける小十郎、剣を抜いた時に容赦はしないと言ったものの、やはり本気は出し辛いようだ。
今、対峙している彼の眼には、もはや小十郎は映っていないのかもしれない。
「を取り戻したい」「仲間を助けたい」「失った爪を奪い返したい」
それだけが今の彼をがむしゃらに動かしているのだろう。
だが、その思いは小十郎とて同じ。
次の一手でキメる。
これ以上、無理をさせる訳にはいかない。
彼には、まだ天下を取ると言う大業も待っているのだから。
「(shit!眼が霞んできやがった…)」
対する政宗はというと、もはや立つ事も難しくなってきたようだ。
焦点が合っていないらしく、目の前にいる小十郎の姿が心なしかブレ始める。
そのブレは時間が経てば経つ程酷くなり、ついには小十郎が何人も見えるようにまでなってきていた。
剣を握れる時間もそう長くはないだろう。
政宗は思うように動いてくれない身体で刀を構え直し、
半分虚ろな目で前を見据えたが、そこに小十郎の姿は既になかった。
「(!?何処行った!?)」
消えた敵を捉えようとしたその刹那、胸部に強烈な痛みと衝撃が走った。
瞬時に間合いを詰めてきた小十郎の蹴りが炸裂する。
そして反撃をする暇もなく、極殺により大幅に攻撃力が強化された12連撃を弱った体に容赦なく叩き込まれ、
政宗は血を吐きながら後ろによろめいた。
如何に「独眼竜」と恐れられるこの男でも、これだけ喰らえば一溜まりもないはずだ。
そこにいた誰もがこれで終わりかと思った。
が、しかし…。
倒れかける寸での所で力一杯踏ん張り、竜の眼が、しっかりと小十郎を捉える。
「まだだ…まだ終わっちゃいねえぜ…!!HELL DRAGON!!」
血を吐きながらもニィッと笑う蒼き竜。
政宗の中にある闘志は、まだ完全には消えてはいなかった。
両手から放たれた蒼く輝く衝撃波は、小十郎に向かって牙を剥きながら直進してくる。
「ぐぁっ…!!(馬鹿な、負傷している中でも最も傷が酷い所を敢えて突いたはずなのに…!)」
地獄より這い出た竜の牙は小十郎を真正面から飲み込んだ。
これにはさしもの小十郎も耐え切れず、戦極を展開し防御したが、完全には防ぎきれなかった。
小十郎の上着やその下に纏っている鎧に無数の傷が出来る。
政宗が弱っているのもあって、大したダメージにはならなかったのが不幸中の幸いだった。
「何と言う無茶を…!!」
「…俺が無茶をする一番の理由位、賢いお前なら分かってるはずだろ?」
「ですが…!!」
「…俺がこうしてる間にも、あいつは敵陣で何されてるか分からねえ…もしかしたら泣いてるかもしれねえ。
そう思うといてもたってもいられねえんだよ…例え俺の身体がどうなろうともな!!」
竜の左眼が勢いよく開かれる。
と同時に政宗の周囲には消えかけていた覇気が戻った。
恐らく残っている力を全て使うつもりなのだろう。
周囲で見ていた兵士達は風圧に耐えきれず、それはもう情けない声を出しながら何人か吹き飛んでしまった。
小十郎も立っているのがやっとらしい、少しでも力を抜けば後ろの城壁に叩きつけられそうだった。
そんな小十郎に向かって政宗は牙を剥き攻撃を仕掛けてくる。
彼の一番の得意技であるMAGNUM STEPが迫り、風圧で思うように動けない小十郎は何とか防御しようと刀を構えた。
そして両者の得物が激しくぶつかり、ついに決着が着くのかと思いきや…意外にもあっけない終わり方を迎えてしまう。
政宗のMAGNUM STEPは小十郎にHITする前に、その威力が少しずつ落ちていき、やがては雷を帯びた光は薄れ…
ぽすん。
最後は刀を握る事も出来なくなった政宗の右拳が小十郎の胸に軽く当たっただけだった。
手から離れた刀が地面に落ちると同時に、政宗自身もその場に崩れ落ちるかのように倒れた。
小十郎は刀を放り投げ、慌てて政宗の身体を支え呼びかける。
「政宗様、政宗様…!」
小十郎の必死の呼びかけにすぐには答えなかった政宗だったが、
やがて少し悔しそうな…子供がふてくされたような口調で小十郎に小さくこう言い渡した。
「shit…どうやら今回はお前に全てを頼むしかねえらしい…。
命令だ…俺の代わりに必ずあいつらを連れて…帰って来い。途中でくたばったりすんじゃ…ねえぞ…」
「…承知!」
小十郎は深く頷き、傷ついた政宗を綱元に任せると、馬に跨り松永の元へ行こうとする。
しかしその瞬間、「しぽん!」と間抜けな音が鳴り、彼は派手に落馬してしまった。
見ると、小十郎は又しても漫画版の姿に戻っているではないか。
「あぁぁこんな時に又もやエネルギー切れとは…」
落馬した衝撃で漫画版小十郎はピクピクと全身痙攣を起こしていた。
目なんて四次元状態だ。
これだけ見ていれば、とても先程まで政宗と戦っていた者とは思えないギャップだ。
そんな彼を見た政宗は即座に怒鳴りつけた。
「ってオイコラァ!言ってる傍から何くたばってやがる!!」
「申し訳ありません政宗様…ごはっ!!(吐血)」
「やっぱりお前には任せらんねえ!!!
綱元っ俺の馬持ってこ…ぐはっ!!(傷口から出血)」
この後エネルギー不足になった漫画版小十郎がゲーム版に復帰するのに結構な時間がかかってしまい、
松永の元へ行くのは暫くしてからだったと言う…。
一方、牢屋から脱出する事に成功した達はというと…。
「ねぇねぇ、なるみちゃん…さっきから何かおかしくない?」
「…あはは…………ちゃんもそう思う?」
牢屋を脱出してから色々と大変ではあったものの、無事城からだいぶ離れている所まで逃れる事が出来た達。
しかし前に進めば進むほど濃くなる妙な霧が辺りを包み込み、一行を苦しませていた。
「さっきまで無かったよね…霧。何か急に出てきた…よね」
「これじゃ方角すら分かんないッスよ、成実様〜!」
「困ったなぁ…せめて何か目印になるようなものがあれば…」
成実は何やら不穏な気配を感じる中、辺りを見回しながら前へと進む。
すると一行の前に風車のような建物が現れた。
それも1つだけではない、近くに寄ってみてみると同じような建物がそこかしこに建っていた。
この景色はも見た事があった、現代でBASARAのゲームをプレイしている時に何回か見たこの建物…。
「まっ…まさか…ここ、長谷堂…!?」
は思わず顔を引き攣ってしまった。
自分の予想が正しければ…この展開はきっと「長谷堂風雲戦」に繋がるだろう。
このまま歩を進めれば自分達はどんな罠にハマるか、
そしてその先に待ち構える敵が誰なのかも彼女は既に知っている。
「(嘘ぉっ!?どうしよう〜伊達ちゃんこじゅさーん!!!!)」
今はここにいない2人には心の底から助けを求めたのだった…。
NEXT
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双竜一騎討ち篇終わりましたー。
別名「俺の嫁は大事なんだー主張戦」(待て待て待て)
さぁ次回は、久し振りに彼が登場致します。
英雄外伝で小十郎ストーリーモードをしていらっしゃる方は、もはやお分かりかと(笑)
上手く彼を表現出来た良いなぁと思います。
クリアである東大寺編まであと1歩…2/3は出来たかな?(苦笑)
ブラウザでお戻り下さい。