『「特別な好き。」』
【好き】には色々な種類があると佐助が教えてくれた。
でも某には違いがよく分からない。
大きくなったらそのうち分かると言っていたけれど。
皆に聞けば分かるだろうか…?
「いい天気だねー幸ちゃん」
「うむ!絶好の団子日和でござる!」
「幸ちゃん、団子の事ばっかり…」
「天気より団子とはよく言うでござる」
「いやいやいやそれ天気じゃなくて花だから。意味分かって言ってる?」
「それがしはお花も団子も大好きでござる!晴れの日は絶好のお散歩日和でござるー!」
縁側に座っていた幸村との間に、ちょこんと座って団子を両手に持ちながら、
パタパタ腕を振って精一杯会話に混ざろうとする。
とても小さいので、体全体で人と会話をするのがリラック真田の癖である。
赤いハチマキをして、3枚の銭を首からぶら下げた幼いこのクマは、北条との戦を終わらせ帰還中の幸村が、
武田の城に戻る途中見つけたのだが、その日は運悪く雨が降っていて全身ずぶ濡れで酷く衰弱し、
拾って帰った日は目を覚まさなくて心配したものだ。
幸村達の看病で元気になり、今では見ていてこちらが元気になる位明るく飛び跳ねたりしている。
そして、いつの間にか仲間の黄助という佐助に似た、おかん属性の黄色い鳥が居つくようになってしまい、
更にはリラック信玄と名乗るうちわを持ったクマや、リラック真田を父上呼ばわりし、追い掛けてくるコリラック幸昌&大八という
一回り小さなクマまでもが現れ、武田はリラックマ王国になりそうな勢いだ。
団子を食べながら談笑していた2人と1匹の元へ、佐助が小走りでやってきた。
「ちゃーん。黄助が呼んでるよー」
「はーい!今行くー!じゃあ又後でね」
「うむ!」
「早く戻って来てでござるー!」
はニッコリ笑いながら「分かった!」と頷き、縁側の廊下を走って行った。
「仲良く縁側で団子なんて食べてさー恋人みたいだねー旦那」
「ななななな…!!そのような事は!!!…ってそう思うなら声をかけるな佐助!!」
「俺だってちゃんが好きなの知ってるでしょーが。好きな女の子が他の男と仲良くしてたら邪魔したいって思わない?」
「むぅ…確かに」
「それがしも殿が好きでござる!」
「う…うーん…リラック真田が言ってる好きと俺様達が言ってる好きとは又ちょっと違うと思うんだけどな」
佐助はあははと少し困ったように笑う。
その様子を見たリラック真田は?を飛ばしながら、「違うのでござるか?」と首をかしげる。
「どう違うのだ?」
「え…あ…いや…なぁ佐助?」
「なぁってあんた…結局のところ真田の旦那も上手く説明出来ないんでしょ…」
「そうとも言う」
大量の汗を吹き出しながら、明後日の方向を見ている幸村。
大方、頭では分かっていても、それを文章にして相手に分かりやすく説明するのが苦手なのだろう。
教えて欲しいと必死にせがむリラック真田をほほえましく思いながら、「分かった分かった」と佐助は頭を撫でてやる。
「リラック真田は何で団子が好き?」
「美味しいからでござる!」
「じゃあ俺様や旦那は好き?」
「好きでござる!」
「それは何でかな?」
「友達だからでござる!」
「とまぁこんな感じで好きにも色々あってさ、物に対する好きとか人に対する好きとかがあるんだよ」
ふむふむと正座をしながら真剣に聞いているリラック真田と幸村。
この先を言うのが何だか恥ずかしくなってきた佐助だが、教えると言った手前、最後まで責任を持って教えてやろうと思い話を続けた。
「特に人に対する好きって言うのはほんと色々あるんだよね。
尊敬してるから好きとか、さっき言った友達だから好きとか、家族だから好きとか、
この人のこういう長所に惹かれて好きになったとか…後は異性として見てるとかね」
俺様達が言ってる【好き】っていうのは異性としてって意味なんだよと照れ臭く笑って言った。
それと同時に、「照れるなんて俺様らしくねー」などと思う。
「では佐助!それがしの好きは殿の事をイセイとして見ているという意味での好きなのか!?」
それを聞いた2人は、ばふぉんと噴き出した。
「えーと…俺様達はリラック真田じゃないからそこまでは分からないよ!ねぇ旦那!?」
「ねぇってあんた…結局のところ自信持って答えられぬだけだろう…」
さっき自分に返された言葉を、ほとんどそのまま佐助に返す幸村。
微妙に根に持っていたようだ。
幸村と佐助の間にブリザードが吹き始めたその時、黄助に呼ばれたが戻ってきた。
「なーに話してんの!?」
「「ぎゃわー!!!」」
「ななな何何何なのどしたの!?」
普通に後ろから呼び掛け、2人に抱きついたのだが、こんなに驚かれるとは思っていなかったのでも慌てふためく。
「ちゃんいきなり現れないでよ!」
「びっくりしたでござる!」
「あたしの方がビックリしたってば!佐助は忍なんだから気配とかで気付かない普通!?」
暫くギャーギャー騒ぐ3人組を、大好きな団子を頬張りながら見つめていたリラック真田だったが、
やがて立ち上がるとの服を引っ張った。
「?どしたの?」
「殿はそれがしの事好きでござるか?」
「え!?好きに決まってるじゃない!」
「ではその好きは友達として?それともイセイとしてでござるか?」
背景で幸村と佐助がぎゃーと叫びながら悶絶している。
こういう質問を真顔でサラっと相手に聞けるのは子供だからだろう。
「異性としてって…何処でそんな事知ったの!?まさか…」
チラッと佐助の方に視線を向ける。
幸村に向けなかったのは、普段こんな話を自分からするとは到底思えないからだ。
「な…なーに怖い顔してこっち見てんのちゃん。俺様別に何も言ってないよ?」
「あやしい〜…」
じとーっと疑いの目で見られるが、別に悪い事を教えた訳ではない。
「それがし達さっきまで殿の事を…「「あー!!!!!!!!!」」
突如大声を上げ、ガバッと後ろからリラック真田の口を塞ぐ幸村と佐助。
これ以上言われたら、もうどうしていいか分からなくなる。
「あたしの事が何って?まさか陰口とかじゃないでしょうね!?」
「誤解でござる!」
「俺様達がそんな事言う訳ないって!」
「「男同士の秘密だから言えないだけであって!」」
「…あ、さいですか…」
2人仲良く揃ってハモる主従。
本人達は必死だが、端から見たら間抜けな姿にもどうでもよくなってきた。
「じゃっじゃあ俺様黄助と夕飯作らなくちゃいけないからこれで!」
「そっ某は食後の運動に鍛練でもしてるでござる!ぅお館すぁぁまぁぁあ!!!」
適当にごまかし、口を塞がれてじたばたしているリラック真田を連れて、そそくさと退散してしまった。
「ほんとに何なの…?」
その夜、リラック真田は寝る前、黄助に今日あった出来事を話していた。
「私が部屋の掃除をしている最中そんな事があったんですか」
「うむ!最後の質問の返答は聞きそびれてしまったが、もし殿がイセイとして好きだと言ってくれたらそれがしはお婿さんに行く準備をせねば!」
「ぶふぉっ!!旦那旦那飛躍し過ぎですから!
それにしてもさんを恋人にするのは大変ですよー何せ幸村さんや佐助さんも彼女の事が好きですからねぇ。
最近じゃ奥州の伊達政宗さんとか言う人も恋人の座を狙っていると聞きますし…」
まぁ私は温かい目で見守る事しか出来ませんがねと溜息をつきながら、リラック真田を寝かせ布団をかけてやる。
「黄助にも好きな人が出来たらよいな」
「ぶふぉっ!!あーもう何か今日噴いてばっかり…」
「黄助?」
「何でもありませんよ。じゃあ旦那明かり消しますよー」
「お休みなさいでござるー」
「お休み旦那。良い夢見て下さいね」
明かりを消し、部屋を出た黄助は障子にもたれかかり、再度溜息をつく。
旦那が立派な大人になり、巣立って行くまでは好きな人を見つける余裕すらなさそうだ…と。
しかし自分は黄色い鳥。
お嫁さんは自分と同じ黄色い鳥なのではないかと、ふとそんな事を考えてしまった。
FIN
-----------------------------------------------------------------------------------------------
ギャグよりまず癒し中心に書いたのですが又もや玉・砕!!
全然癒しになってなーい!!(滝涙)
何て言うか読んでると心が温かくなるようなそんな感じの話を目指そうと思ったのにー!!!
と言うか【好き】の説明ってこんなんで良かったのかな!?
明らか間違ってる気がしてならないのですが!!
書いてて恥ずかしかったけどリラック真田は私的に一番好きなキャラなので楽しかったです///
余談ですが分かりやすいように幸村は一人称を漢字にしリラック真田の方は平仮名にしました。
やってもあんまり意味はありませんでしたが(笑)
ブラウザでお戻り下さい。